前回ついに完成した「収納一体型の自作木製ケージ」
今回はその爬虫類ケージのレイアウトをワイルドでオシャレにするべく、「擬岩バックボード」の自作を行います。
なお擬岩の作り方についてのお問い合わせが多いため、この記事では作り方をより丁寧に解説していきます。
より深く知りたい方は以前に自作した水槽やアクアリウムにも使える擬岩バックボードの作り方をご参照ください。


目次
擬岩バックボードの作り方の手順
簡単な「擬岩バックボード」の作り方の手順は以下のとおり
- スタイロフォームの加工
- モルタルで擬岩を造形
- 擬岩を塗装する
- 完成
擬岩を作る際、最も大切なのは「スタイロフォームの加工」です。
スタイロフォームで作った基礎にモルタルや塗料を使いリアルな擬岩を作るため、この工程の良し悪しで完成度が大きく変わってしまいます。
そのためスタイロフォームの加工は納得いくまで徹底的にこだわることをオススメします。
スタイロフォーム(発泡スチロール)を加工
まずはバックボードを設置するケージの横幅に合わせスタイロフォーム(発泡スチロール)をカッティングします。
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幅90ケージに合わせカットするため、1m定規があると作業が捗ります。
一般的に使う機会は少ないですが、DIYやバックボードを自作するなら必ずあった方がいい道具です。

スタイロフォームを加工する際のコツは「ピッタリサイズ」にカットするのではなく、縦横1cmほど余白を作っておくこと。
なぜなら両サイドと上辺はモルタルと塗料で厚みが増すため、ジャストサイズだと最悪ハマらなくなってしまうからです(1敗)

次はスタイロフォームを使い、擬岩バックボードを細部まで作り込んでいきます。
私の場合、まずは擬岩の支えとなる足場から作ることで安定して作業出来るようにします。
細部を作る際はあまり神経質にならず、立体感と陰影を意識しながら大雑把にスタイロフォームをカットすることで良いものが出来上がります。

スタイロフォームの加工が終わったら、先程作っておいたバックボードにボンドで接着していきます。
接着する際はスコヤなどの直角をとれるものを使い固定することで、歪みやズレをなくすことが出来るのでオススメです。
完成した擬岩バックボードの基礎
2台同時進行で擬岩の基礎をつくり続けた結果、7時間以上掛かってしまいましたが無事完成しました↓

こちらは我が家で飼育している爬虫類用(フトアゴヒゲトカゲ)のバックボードです。
従来のバックボードをベースにしつつ、擬岩のスペースを広げ流木一体型にするなどの改良を加えました。

さらにフトアゴヒゲトカゲが好きな立体行動が出来る広々としたスペースから寝床まで行けるスロープを設置したり遊び心も加えてみました。

こちらは近日お迎え予定のフトアゴヒゲトカゲ用の擬岩バックボードです。
どんな性格か分からないので、フトアゴの好きな高所を作りつつ流木取り込むことで立体行動も出来る作りにしてみました。

ベビーサイズでお迎えする予定なので、ベビーでも簡単に登れる「ぷち高台」を作り遊び心を追加しています。
こういった所にこだわれるのが自作ならではの良さですね。
モルタルで擬岩を作る
次はいよいよモルタルを使いスタイロフォームを擬岩へと仕上げていきます。
下地用モルタルでコーティング
まず下地用モルタルでスタイロフォームをコーティングし、後で塗る「造形モルタル」が定着しやすくなるようにします。
今回も下地用モルタルには「ニューサンドモルタル」を使用していきます。

いつもどおり手を使いモルタルを塗っていきます。
下地用モルタルはあくまで表面をコーティングし定着しやすくするだけなので、厚塗りはせず全体的に塗るだけで大丈夫です。
塗り残しもありますが最終的には造形モルタルで覆うため気にする必要はありません。

塗り終えたら数時間乾燥させます。だいぶ擬岩っぽくなってきましたね。
造形用モルタルで擬岩を作り込む
次に擬岩のディテールを作り込むため、造形モルタル(ギルトセメント)を塗っていきます。

まずはギルトセメントに水を混ぜ、モルタルを調合します。
調合する際の分量は適当ですが、手で持ったときに「タラタラとしたたり落ちる位の粘度」にすることで塗りやすく、擬岩の細部までこだわれるのでオススメです。
で擬岩を作る-1024x576.jpg)
ここでも奥義・手塗りを使いバックボードにモルタルを塗装します。

擬岩バックボードを何度も作るうちに分かったコツとして、「わざと塗り後を残す」ことがあります。
画像を見て分かる通り、塗り後が固まるといかにも風化した岩っぽくなりリアリティのある擬岩に仕上がります。
エイジング加工を施す
モルタルで擬岩の形を造形し終えたら30分ほど乾燥さえ半乾き状態にし、エイジング加工を施していきます。

私はエイジングするとき「台所用たわし」を使います。
安価で使い捨て出来、簡単に不規則なエイジングが出来るからです。

たわしを使いエイジングする際のコツは、ポンポン叩きながら不規則に後を付けることです。
さらに手首をスナップさせバックボードに軽くたわしを当てたするのも有効な手段ですね。

たわしで出来ない箇所や細かいところは「手」を使いエイジング加工を施していきます。
やはり「手」でしか出来ない細かいエイジングもあり、擬岩バックボードの自作は奥が深い。

気の済むまでエイジングさせたら野外に置き、夏なら12時間・冬なら24時間以上放置するれば完全に乾燥します。
水性シーラーで塗装

完全に乾燥させたら「水性シーラー」で下塗りします。
油性ほどではありませんが水性シーラーも臭いがきついため、屋内で塗装する場合マスクをしてしっかり換気しましょう。

「シーラー」はモルタルと塗料の接着力を上げるための中間的存在になり、塗り残しがあると塗料が剥がれたりする場合もあるため、しっかりと塗る必要があります。
に水性シーラーが染み込んでいく様子-1024x576.jpg)
モルタルの凹凸部分はシーラーをかなり吸い込むため、画像のように「水たまり」が出来る位に塗ってしまったほうが失敗なくいきます。
なお擬岩バックボード1枚あたり、約300mlのシーラーを消費します。

一通り塗り終えたら3時間ほど乾燥させます。
擬岩バックボードを塗装する
いよいよ最後の仕上げに塗料で塗装していきます。
の塗装に使用する塗料-1024x576.jpg)
今回もバックボードの塗装には「ミルクペイント」を採用しました。
擬岩とはいえ爬虫類が生活するので極力有害でない安全性の高い塗料を探した結果、乳由来の成分から作られたこの塗料が一番だという結論に至りました。
なによりミルクペイントのマットな仕上がりが結構気に入っています。

前回は「黒寄りのグレー」をベースとした擬岩バックボードに仕上げましたが、今回は木製ケージの雰囲気にあわせ「オフホワイト」をベースカーラーとします。

まずは全体的に光のあたる箇所に明るめの色(ピンク)を入れます。

次にバスキングライトの当たらない場所(影となる箇所)に緑色の塗料を部分的に入れ、陰影が付くように塗装します。

さらにその上からベースカラーである「オフホワイト」を重ねて塗装します。

下の塗料が乾く前に重ね塗りすることで、いい感じに混ざり合い馴染んでいきます。

先程の工程を何度も繰り返し、だいぶ完成に近づきましたものの「のっぺり」した感じが残りまだ納得出来ません。

のっぺり感をなくすため、影となる箇所に「黒」を差し色程度に塗装します。

さらに光が強く当たる箇所にはホワイトを入れることでハイライトされ、黒を入れた場所との対比になり、一気に立体感が増します。
あとは満足行くまで擬岩のディテールを作り込み、24時間ほど乾燥させたら完成です。
完成した擬岩バックボード
今回は2つの擬岩バックボードを作ったのでそれぞれ分けて見ていきましょう。
くりとり氏の場合




新しいフトアゴ用の場合




まとめ
初代バックボードと比べ、加工や塗装も手慣れたことでかなり効率的に作ることが出来ました。
擬岩の質感やクオリティーも向上し満足いくものとなりましたが、後になって「こうしておけば良かった」と思うところもあり、まだまだ擬岩バックボードの自作は改良の余地がありそうです。
あとはコレを自作したケージにはめ込み、レイアウトを整えればいよいよ完成です!
